現役米国陸軍制式拳銃SIG P320を解説!性能と米国に採用された理由とは?

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米国陸軍の制式拳銃として採用された事により一躍世界にその名を轟かせたSIG P320とSIG社。

前回の制式拳銃を決めるプログラムでベレッタに負けたSIG社の拳銃が何故現役の米国の制式拳銃に選ばれたのか?

今回は性能とともにその理由を解説していくぞ。ちなみにP320は海兵隊にも採用されているから、要チェックだ!

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SIG P320君のステータス( P320コンパクト基準)

種類自動拳銃
原産国 ドイツ
 米国
履歴
歴史2014年〜現在
開発SIG / SAUER
生産
運用国 米国
 タイ
この銃の前身となった銃P250
派生型P320 Manual Safety 
P320 Target 
P320 RX
M17 
M18
仕様(P320コンパクト基準)
弾薬9x19mmパラベラム
.357 SIG 
.40 S&W 
.45 ACP
給弾9×19mmモデル基準
15発入りボックス弾倉
動作ボール直動式
ダブルアクション式
銃身の長さ99mm
銃の全長183mm
重量731g
有効射程50m

SIG P320の概要

SIG / SAUERで作成された、最初のストライカー式自動拳銃だ。半世紀もの間維持されてきたP2XXナンバーを超えた最初の拳銃である。そしてSIG P250以降出てきた第二のモジュラー拳銃でもある。

グロックが登場してから、メジャーとなっていったストライカー式の波に乗るように、2014年に公開された。

SIG P320の詳細

表面だけ見るとP250とかなりよく似ているが、内部の構造に注目するべきだろう。違いは、P250は従来のハンマー方式モジュラー拳銃であるが、P320はストライカー方式を使うモジュラー拳銃ということだ。


更に特徴として、P250のようにポリマー材質で作られた拳銃であり、P250で得られたモジュール化技術を適用してモジュラー構造を用いて4つのサイズと4つの口径(9mm、40 S&W、.357 SIG、.45 ACP)に自由自在に変更することができる。

またP250の失敗の要因であった、ダブルアクション方式の作動方式のために銃の反動があまりにも大きく射撃精度があまり良くない問題を、ストライカー式の作動方法へと変えることによって解決し、射撃精度を高いレベルに上げた。

P320の採用国

SIG P320のタイでの快挙

制式拳銃として採用した国はタイが初めてで、2015年からなんと15万丁を購入し、将来、タイ警察全体の制式拳銃にしようとした。SIGとしてはSP2022以降で最大の売り上げを得たわけだ。これに気をよくしたSIGはP320ピストルを一丁あたり1万8千バーツという特価でタイ警察機構のみに提供することを決定した。

これは、米ドルで約$ 500前後の額であり、米国で$ 669〜$ 713、タイの民間市場ではより高価な7万バーツ(約$ 1,900)で売られていることを勘案すれば破格の値段と言えるだろう。くうう。羨ましいぜ!!

2015年11月には、米国のハワイ公安部(Hawaii Department Of Public Safety)がP320を採択した。そのほかにも、シンシナティ大学警察とニュージャージーユニオンビーチ警察、テキサス州公安部とテキサス州ハイウェイパトロール、オクラホマハイウェイパトロールなど米国のいくつかの警察組織でも採用に成功した。

FBIは、これまで使っていた.40 S&W口径のグロック22と23の後継としてP320の9mmモデルが採用されるのではと一部で予想されていたが、残念ながら9mmグロックの17Mと19Mに敗れて採用されなかった。

米国陸軍の正式採用によって一躍有名に

その後、米国陸軍のM9拳銃とM11拳銃の後継を決定する「XM17モジュラー拳銃システム(MHS)事業」でグロックやM&Pなどと一緒に有力な候補の一つとして提出された。無難で人気あまりに良いグロックが選ばれる可能性が一番高いと予想されていたが、意外にP320が制式拳銃に選ばれたんだ。これにより、今後数十年間、米軍の制式拳銃として多大な認知度を積むなるだろうな。君たちがP320を知ったのもそのおかげだろう?

正式には米国に採用されたモデル名はM17M18と言うんだが、これはP320が採用されてから米国軍向けにデザインされ直されたモデルだ。この名前はSIG320が制式拳銃を決めたプログラムXM17からきている。

この大金星にはもちろん理由がある。

1985年に行われた制式拳銃を決める事業の際にSIG P226が価格差によってベレッタ92に負けたのがよほど悔しかったのか、今回選ばれたSIG P320の米軍軍納価格は予備の部品とアクセサリー、ホルスターなどをすべて含めた一式当たり207ドルしかならないとする。30年以上前の事業にP226とベレッタ92が提示した価格よりも安い。安価に作成されるポリマー拳銃という面もあるが、必ず勝とうというSIGの意志が示されたようだ。

米国に輸出する1年分拳銃数量が、今回のMHS事業の全体出荷量よりも多いグロックであっても、やはり米軍制式拳銃の桁は逃すのはあまりにも痛かっただろうな。

2017年5月には、米陸軍では、M17 MHS拳銃が最初に支給される部隊を他でもない、第101空挺師団に決めたし、その年の夏中に最後のテストを終了するとした。

更に海軍、海兵隊も。おまけにデンマーク軍も

そしてさらに、この事業と無関係に見えた米海軍がXM18を61,000丁、米海兵隊はM17(XM18含む)を35,000丁導入するという意外な事実も明らかになった。なお、米軍の5大軍事組織の一つである米沿岸警備隊は、2004年に既にP229R DAKを採用していたため、このビックウェーブに乗ってP320を採用することはなかった。

2015年11月には、米国のハワイ公安部(Hawaii Department Of Public Safety)がP320を採択した。そのほかにも、シンシナティ大学警察とニュージャージーユニオンビーチ警察、テキサス州公安部とテキサス州ハイウェイパトロール、オクラホマハイウェイパトロールなど米国のいくつかの警察組織でも採用に成功した。

FBIは、これまで使っていた.40 S&W口径のグロック22と23の後継としてP320の9mmモデルが採用されるのではと一部で予想されていたが、残念ながら9mmグロックの17Mと19Mに敗れて採用されなかった。

一方、派生型P320 X-Carryが2018年4月には、デンマーク軍の制式拳銃に採用された。2019年末までに全部隊に普及していて、既存のSIG P210をなんと70年ぶりに完全に置き換えた。

SIG P320の弱点

そんなSIG P320が波に乗っている時に、床に落としたりスライドの後ろに衝撃を与えると暴発を誘発するという致命的な欠陥が出てきてP320を手榴弾扱いするメディアもたくさんいるが、M17の場合には早めに修正されこの弱点は存在しない。

SIG P320バリエーションとその仕様

この拳銃はカスタム性が高く、同じSIG P320でもそのカスタムによってサイズは4種類に分かれており、なんと簡単な改造だけで4種類の拳銃にすることができる。

SIG / SAUER P320 Full Size

  • 長さ:203mm
  • 銃身の長さ:119mm
  • 重量:833g(9×19mm Parabellum、357 SIG、40 S&W、.45 ACP)
  • 弾薬:9×19mm、.357 SIG、.40S&W、.45ACP
  • 動作:ブラウニングショートリコイル/反動イ・ヨンシク
  • 装弾数:17 + 1(9mm)、14 + 1(.357 SIG / 40 S&W)、10 + 1(.45 ACP)
  • 製造国:ドイツ、米国

SIG / SAUER P320 Carry

  • 長さ:183mm
  • 銃身の長さ:99mm
  • 重量:737g(9×19mm Parabellum、.357 SIG、40 S&W、.45 ACP)
  • 弾薬:9×19mm、.357 SIG、.40S&W、.45ACP
  • 動作:ブラウニングショートリコイル/反動イ・ヨンシク
  • 装弾数:17 + 1(9mm)、14 + 1(.357 SIG / 40 S&W)、10 + 1(.45 ACP)
  • 製造国:ドイツ、米国

SIG / SAUER P320 Compact

  • 長さ:183mm
  • 銃身の長さ:99mm
  • 重量:731g(9×19mm Parabellum、357 SIG、40 S&W、.45 ACP)
  • 弾薬:9×19mm、.357 SIG、.40S&W、.45ACP
  • 動作:ブラウニングショートリコイル/反動イ・ヨンシク
  • 装弾数:15 + 1(9mm)、13 + 1(.357 SIG / 40 S&W)、9 + 1(.45 ACP)
  • 製造国:ドイツ、米国

SIG / SAUER P320 Sub Compact

  • 長さ:170mm
  • 銃身の長さ:91mm
  • 重量:708g(9×19mm Parabellum、.357 SIG、40 S&W、.45 ACP)
  • 口径:9×19mm、.357 SIG、.40S&W、.45ACP
  • 動作:ブラウニングショートリコイル/反動イ・ヨンシク
  • 装弾数:12 + 1(9mm)、10 + 1(.357 SIG / 40 S&W)、6 + 1(.45 ACP)
  • 製造国:ドイツ、米国

SIG P320の派生型

元P320はP250のように手動式安全装置がなかったが、米軍の次期拳銃計画的のMHSのため手動式安全装置が付いたバージョンも製作した。

  • P320ターゲット
    2016年第2四半期にリリースされたモデル。フルサイズよりもさらに長いコンペティション/競技用モデルだ。
  • P320 RX 
    元々はP320ターゲットのように開発された。最近の傾向に合わせて(グロックMOSのように)スライド上にトリッジコーン(Trijicon)社RMRのような拳銃用ドットサイトを装着できるようにしたモデルである。ドットサイト付けれる拳銃って意外と少ないんだぜ?
  • M17 MHS
    米軍制式型。試験型XM17は、米軍の新しい制式拳銃決定プログラムXM17で勝利し、米軍制式となった。フルサイズとコンパクトサイズがあり、手動安全装置とドットサイトマウントを基本と装備する。フルサイズとコンパクトサイズ両方とも同じフレームを使用して軍需・修理に柔軟性を高めた。

メディアでの登場