高威力で人気でかっこいいリボルバー!屈指の名銃コルトパイソンを解説!

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コルトパイソンの概要

Colt Python
米国銃器会社コルト社が1955年に開発し、2003年まで製作販売した.357口径ダブルアクション6連発拳銃である。名前の意味はニシキヘビだ。(今販売されているコルトパイソンはサードパーティー製)

コルトの大型リボルバーのフレームであるIフレームに基づいたリボルバーで、.357マグナムリボルバーとしては少し大きめの方。重量は1.1〜1.4キログラム、銃身の長さは2.5〜8インチ(6.4〜20センチメートル)である。有効射程は75ヤード(69メートル)。

コルトのプライドをかけて作られた競技用拳銃で、低迷期にあったコルト社を一気に盛り上げるほどの人気を誇った。

コルトパイソンの歴史

コルト社の創業者であるサミュエルコルトは、ダブルアクションが精度(命中率)を落とし、機械的に粗野なデザインという理由でダブルアクションリボルバーを非常に嫌っていた。

その理由から、彼が生きていた時代にコルト社はダブルアクションリボルバー製品を全然作らなかった(プロトタイプは何種類か作った)が、コルト氏の死後にM1877を筆頭とする様々なダブルアクションリボルバーを製作販売し始めた。

その中でも”コルトオフィサーマッチ”というダブルアクションリボルバーは柔らかいアクションと優れた精度で人気が高く、ライバルであるスミス&ウェッソンのモデル27との試合のために愛用された。

↑コルト “オフィサーマッチ”拳銃。

↑競技用に改造したオフィサーマッチ


ところが、スミス&ウェッソンのモデル27は、当時人気の高かった新型強力銃弾の.357マグナムを使用する銃であるのに対し、コルトオフィサーマッチで発射することができる弾は.22LR、22マグナム、.38スペシャルだった。.38スペシャルは.357マグナムに比べると威力が弱い弾だったので、コルト愛好家はコルトも.357リボルバーを制作してほしいという願いがあった。

結局、コルトは、その最高の銃職人のアデレードバートギュンターを投入して、この「名品拳銃」を開発することにし、3年間の期間を通じて1955年に出てきたものが、コルトパイソンだ。当時としては最高級の威力を誇り、人間を撃てば弾けると言われていた。

このコルトパイソンはコルトファンのみならず他社のファンまでも魅了し、他社がパクるほどの製品となった。

しかしパイソンはこの時期のコルトの営業方針通り、高級なものを作るコンセプトで設計された銃だったから事実上大量生産が不可能だったんだ。

当初のパイソンは内部のアクション部品をすべてアデレードバートと助手の一人がいちいち手作業で曲げ、合わせて、調節しなければならないというとんでもない手間のかかる製品だった。

だが需要が爆発的に増加していくにつれて作業人員を増やし、パイソンの完成度と性能は徐々に劣悪してくことになってしまった。ベトナム戦争でコルトが軍納銃に注力していた時期に作られたパイソンの品質は特に低いという。

このように製作にコストをかけないようになるとパイソンは品質だけでなく、外観もますます変わって、初期の木製グリップとロイヤルブルー仕上げの外装のものは見つけることができなくなってしまい、普通の黒やステンレス鋼、ニッケルメッキなどの仕上げと安いプラスチックやゴムグリップとなった製品が販売された。

さらに、1970年代には.357マグナムを凌駕する巨大な拳銃弾である.44マグナムの人気が高まることになった。パイソンの人気はますます下落し、その上コルト社は多くの民需用銃関連の訴訟に苦しめられて最終的に軍納銃に注力することを決めたことにより2003年には販売が中止されてしまった。(受注販売は2005年まで続いた。)

コルトがパイソンを往年の名品として復刻してくれることを望む人も多い。今日しっかりとしたパイソンを入手するのが非常に難しいからである。安く大量生産されていたものも中止されてしまった今となっては多くのお金をかけてオークションに頼るしかない。

オークションは状態と製作年度によって異なるが、まともなものは通常35万~50万程度で取引される。上述したように、後の生産モデルの品質が初期生産分に比べて落ちるので、生産年度が古いものだと更に高額で取引される。

しかし、コルトは数回のストライキと破産を経て、事業規模が大幅に縮小しているため、復刻されるのは難しいとされている。職人が手作業で製作する方法を中断した後必要な機材をすべて処分し、当時の職人たちも退社してからずいぶん経っており、もし生産が可能だとしても生産単価があまりにも高く、製品化するのは難しい。

つまりコルトパイソンは今幕を下ろした時代の遺物であり、いつかパイソンの後を継ぐ名品拳銃が作られたとしてもその価値がなくなることはないだろう。

コルトパイソンの人気の理由、性能

↑ユーチューブの有名銃レビュアーhickok45のコルトパイソンレビュー。

パイソンの高精度は、精密加工された銃身、シリンダーロック、そしてアクションの柔らかさという3つの特徴から成り立っている。

シリンダーロックとは「金庫(bank vault)」とも呼ばれるコルト特有のシリンダーロックアップを指す。

S&Wやルガーは、パイソン以降に開発されたキングコブラなどのコルトリボルバーはハンマーに打撃される瞬間、シリンダーが完全に固定されずに少しずつ動く。

その理由は、発射された弾頭が部屋から銃身に入る過程で多少の誤差を許容することで、この場合、製作が簡単となりシリンダー固定装置の精度がある程度低下しても動作には大きな支障がなく、代わりに命中率が少し低くなるだけだからだ。

つまり、コストを削ってるわけだな。

その一方、パイソンは、引き金を引くとチャンバー(弾丸が入っている薬室)がますます銃身にタイトに噛み合わせされ、トリガー圧が最大となる状態、つまりハンマーの打撃がプライマー(雷管)に叩き付けられる直前の状態では、チャンバーは銃身と一寸の誤差もない状態でかみ合う状態で固定される。

そのため、弾丸が発射されてもチャンバーと銃身の間にズレが生じることなく一気に室- >銃身- >銃口を通過し抜けていく。チャンバーと銃身の間にズレがある場合、弾丸はズレに軽く衝突し乱れて命中率に悪影響を与えるが、パイソンはこのようなズレがないので、製作単価が高くなり着実な点検や整備と引き換えに命中率と信頼性を維持することができる。

そして重要なもう一つの特徴が柔らかいアクション。

ここでいうアクションとは、トリガーとハンマーの動作時にトリガーを引く指に入る力を指す。アクションが柔らかいということは、トリガーとハンマーの抵抗が少なく、したがって少ない力だけでトリガーを引けるという意味である。

元々競技用の銃は、アクションが柔らかい。

パイソンの祖先とすることができる競技用のシングルアクションアーミー(コルトSAA,ピースメーカー)も柔らかいアクションで有名だったが、そのためにリボルバーのメインスプリングがより薄く長く作られている。競技用の物は一般SAAと比較するとグリップの形が違い、グリップの中にメインスプリングが入っているので、長く緩やかに湾曲しているスプリングの形どおりにグリップも作られているのだ。パイソンもこのような形のグリップを持っている(ただし、これは木製のグリップでなければ作るのが難しかった)。

このソフトなアクションがパイソン特有の”味”を与え愛好家にとってパイソンを忘れがたき存在にした。

パイソンのこれらの利点が維持されるのには手間がかかる精密製作と安定したメンテナンスが不可欠である。

しかし、制作スタッフの熟練度は上述したようにますます劣悪になったし、今日ではほとんどあり得ない業者によるメンテナンスが必要という、欠点が浮き彫りになることとなった。

自慢だったソフトアクションは製作工程の完成度が落ちたためにライバルであるS&W社のリボルバーに比べ「トリガー圧力が一定していない」との酷評も生んだ。

さらに、アクションが柔らかいということは、裏返しに言えばハンマー(ボール打撃)の打撃力が弱いという意味である。そのため試合用ではない一般的な.357マグナム弾を使用した場合ハンマーがプライマーを爆発させず、不発になる場合がある。

↑パイソンが不発になる場面(1分14秒から)。ユーチューブの有名銃レビュアーのhickok45の動画である。

余談では、国際連合本部前に平和のシンボルとして銃身が曲がった拳銃のオブジェクトがあるが、これはコルトパイソンがモデルである。

コルトパイソンのモデルバリエーション

コルトパイソンの銃身のバリエーション

パイソンはコルト製品の中でも特異なほど多様な銃身の長さを持っていることでも有名なんだ。

このページの一番上に出てきた4インチモデルが最も有名ですが、そのほかにも2.5インチ、3インチ、6インチ、8インチの銃身を持つ製品がある。

↑2.5インチモデル。秘匿携帯に開発されたモデルでグリップも小さい。

↑生産数が少なく希少モデルである3インチモデル。

↑競技用に設計された6インチモデル。大きな銃が好きな人に人気が高い。競技用には、通常、2倍率スコープを装着し、折り畳みスコープを装着したセットでも販売している。

↑ちょっと大きい8インチモデル。競技用には通常3倍率スコープを装着した。

コルトパイソンの材質バリエーション

材質のバリエーションでは、ブルーイングの処理をした青みがかった鋼製、サテンステンレス(つや消し)、ブライトステンレス(つやあり)、ニッケルメッキ材質のパイソンがある。その中でもロイヤルブルーとしてブルーイングされた銃を革に多くこすり光を出したものが人気であり、これは他の銃では見られないパイソンのユニークな外観である。

色はニッケルとロイヤルブルー。スコープは3倍率スコープ。

コルトパイソンのグリップバリエーション

パイソンのグリップバリエーションも本当に多いが、最初はグリップ全体にわたってチェッカリング(やすりとかでつける網模様みたいなやつだ。エアガンのグリップで見たことあるだろ?)されたクルミの木のグリップが標準だったが、チェッカリングした部分が少なくなっていき(チェッカリング加工にかかる手間を軽減するためである)、後はまったく大量生産が容易なゴムやプラスチックでできたグリップに変わった。もちろん、ラバーグリップは.357マグナム弾の反動を緩和させてくれるという名目であり、実際にそのような効果があったが、チェッカリングされた木製のグリップに比べるとラバーグリップの生産コストが低いのは否めない事実である。

そのためグリップを見ればそのパイソンがいつ頃作られたものなのか簡単に分かる。パイソンのコルト純正木製グリップは非常に需要が高くオークションでも高い。

そのため、多くの人々がパイソンの純正木製グリップを取り外し高く販売したり、大切に保管して代わりにゴムやプラスチック、またはコピー版木製グリップをつけた。だから1950年代のパイソンにイタリア産コピー木製グリップやゴムグリップが付いている場合もしばしば見られる。

さらに、パイソンは「名品」をコンセプトに出てきた拳銃だったので、買い手がほしいと思えばさまざまなカスタム加工をしてくれた。文様を刻んで金を詰めた象嵌柄モデルも多く、中東王室の紋章などが刻まれたパイソンもあった。これを集めた有名な人物ではエルビス・プレスリー、スペインのカルロス国王、サウジアラビアのハリド国王と、モロッコののハッサン国王、アラブ首長国連邦のシック国王、エジプトの大統領、シリア大統領などがいる。

コルトパイソンのゲームや映画での活躍

  • シティーハンター冴羽 獠が劇中に使用する。パイソンを使用するメディアの中で最も有名である。作品ではヘリコプターも粉砕し、戦車も粉砕する魔法の銃だ。
  • 人気ドラマウォーキングデッドの主人公であるリック・グライムズの拳銃がパイソン6インチモデルである。製作陣が検討して選択されたと言う。
  • コールオブデューティ:ブラックオプスも副武装として登場。
  • マルチではリボルバーらしく、最大ダメージ50、少なくとも30という凶悪な性能を誇る。反動も肉眼的には大きく見えますが、実際の反動は非常に小さい。だがリボルバーとリロード速度が絶望的で弾倉が6発と自動拳銃に比べて使用することが難しい
  • ドールズフロントライン(少女電線)の5つ星戦術人形として登場する。

他にもあまりにも多くのドラマやゲームに登場しているが、パッと思いついて皆が分かりそうなのはこのくらいかな。

日本で手に入れるなら。コルトパイソンのエアガン、モデルガン

実銃の美麗な外観と高い人気のために多くのエアガン制作会社がパイソンを製品化した。リボルバー拳銃なのでガスガンとエアコーキングの二種類だけあり、どの会社の製品も外観を忠実に再現したので、適当に選んで取っても失敗しないのがパイソンだ。

ただし、パフォーマンスを厳しく問うと話が違ってくる。

ガスガン

東京マルイ、田中ワークス、KWC、クラウンなどの製品がある。
田中ワークス製品の場合には、田中特有のシリンダ内ガスタンクシステム(=ペガサスシステム)であるため、シリンダー自体が発射機構である。そのためカートリッジ(弾丸)をシリンダーに挿入したり、削除するギミックは実装されていない。

東京マルイは2.5インチ、4インチ、6インチの銃身を持つ3種類があり、残念ながら3つともラバーグリップ以外の選択肢がない。マルイガスゴンのでガスタンクはグリップの中に位置し、シリンダーは給弾システムに過ぎない。しかし、リボルバーガスゴンで最大の問題である発射時のガス漏れを防ぐために特別な装置になっており、シリンダーの構造がかなり複雑である。

面白くも、このシリンダーを簡単に改造して実弾と同様の外観のカートリッジを使用するようにすることができるアクセサリーがあります。このカートリッジは、シリンダ内部のスプリング機構を銃弾の内部に実装した非常に洗練されたものである。価格は6000円台と高価。

KWC製品はマルイ構造をコピーしてケーシング分離機能を入れた製品である。ただし、耐久性が弱いという問題がある。

クラウン製品もケーシング分離機能がある。クラウン製品には詳しくないので今後追記する。

エアガン

東京マルイの製品と、クラウンの製品がある。

この2つであればどちらのものを購入しても構わないと思うが、個人的にはクラウン製の物をおすすめしたい。